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風が心地よく天気も良い木曜日、キャンプ場の近くで生活しているわたしの一日は朝から始まる。キャンプ場は郊外にあり、平日のためか混み合っておらず過ごしやすかった。
私はまずキャンプ場近くにある湖へ行き釣りをした。少し大変ではあったが手漕ぎの船を出して湖の中ほどまで出た。一時間ほど釣りをするも魚の気配は無く早々に引き上げた、しかし湖での釣りは環境も風景もすばらしく釣れずとも十分に満足することが出来た。
次に私は小屋に戻り、農具を持ち畑へと出かけた。山間に作った簡素な畑ではあるが、一人では持て余してしまう量の収穫物が取れる。今日行ったのは簡単な整備であるが、整備の過程で間引いた小ぶりの芋は土の匂いが強く、一人で食べるには十分な量を手に入れることが出来た。
その後昼まで時間があったため、私は湖のほとりで水浴びをした。畑仕事で火照った体に水を十分浴びさせる。スッキリした気分になり、昼食は湖を見ながらサンドイッチを食べた。
午後からは少し忙しかった、まず私は弓を用意し野鳥狩へと出た。私は狩りを行う際は銃よりも弓を好んだ、銃は音もにおいも強いため一度失敗すると警戒してしまいなかなか次のチャンスが訪れないからだ。弓は狙いにくいものの扱いなれてしまえば良い物だ、今日はそんなに時間をかける事無くマガモを一羽手に入れることが出来た。
小屋に戻ると鉈とナイフと使い、すぐにマガモの血抜きと解体を行った。何度も経験があるため解体はあっさりと終わり、マガモは見慣れた鶏肉へと姿を変えた。
夕食は芋とマガモを炊く事にした。味付けをした鶏肉と水洗いした芋をなべに入れて炊くだけの簡単なものだ。小屋の外にある焚き火を利用する。時折火の強い場所へ、たまに弱火の場所へと鍋の位置を変えながら調理を行う。薪を足しながらの作業中、薪の量が減ってきたため調理を行いながら斧で薪を割った。
調理が終わり食事を行う。鶏肉は柔らかく、芋もホクホクとしておいしかった。少々量が多く、残ったものは明日の朝食用へ分けておき鍋を洗う。この時一緒に今日使用した道具も全て洗っておいた。鍋・鉈・斧・農具・弓の矢じり・ナイフをしっかり洗い水気を拭き取る、こうすることで長く使用できることを私は知っていたからだ。
小屋へ入りのんびりとした時間を過ごす。日中に作っておいた綺麗な氷をアイスピックで割り、氷を浮かべたウイスキーを数杯飲んだ。
今日も一日楽しんだが、明日はもっと忙しくなるぞ。
今日使用し、綺麗に洗われた道具達を見ながら過ごすこの時間は格別なものだった。明日のことを思うとワクワクが止まらず、気持ちを落ち着けるためと思って飲んだウイスキーも逆効果に思えた。
明日は長い一日なる、そう思い早めに寝ることにした。興奮は冷めぬままベットへと潜り込む。なかなか寝付けずそわそわとした気持ちがずっと続いていた、それは遠足前夜の小学生ととてもよく似ていた。
そうだ忘れていたことがある。
思い出したかのように飛び起き、枕元にホッケーマスクを置いた。
明日は十三日の金曜日だ。
ジェイソンはワクワクを押さえつけるように、ゆっくりと眠りに付いた。
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