雪鏡が咲くとき

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 男たちはモニターを眺めていた。 「こいつも欲望にのまれたか」 「そのようです」 「どんなに欲望がなくても、人は欲望を持つ生き物なんだな」 「そのようですね」 「また、本物の雪鏡が大きくなるな」 「そうですね」  男たちは、振り向いた。  背後には大きな雪鏡があった。  人間の欲望を吸い取り大きくなるサボテン・雪鏡。  欲望を吸いとるたびに、子株が生まれていた。  男は大事そうに子株を親から取ると、てっぺんに小さな蕾が付いているのが見えた。 「また誰かの欲望を吸うのだな」  この雪鏡が大きくなるのは何のためなのか、男たちにもわからなかった。
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