雪鏡が咲くとき

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 雪鏡が枯れてから、わたしは希望を持たずに、街をさ迷った。  希望を持ってはいけなかった。  職もなく、無一文のわたしは、一日中路上に座っていた。  わたしは、何の価値もない人間だと、思い知らされた。  あの夢にような生活には戻れない。  腐って枯れた雪鏡のように朽ち果てるのだろうと、わたしは静かに目を閉じた。
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