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「じゃあ、トモくんのキスの相手って……」
「うん。この姪っ子」
友季に頭を撫でられて、愛華は幸せそうに微笑む。
「友季、大好き〜」
「……」
相手が5歳児だろうと、それが友季の姪っ子だろうと、嫌なものは嫌だ。
そう思った舞は、自分の心の狭さに自己嫌悪して黙り込んだ。
「愛華には、隣のぶどう組に彼氏いるんだろ?」
舞の気持ちに気付いているのかいないのか、友季は不意にそんなことを言い出した。
ぶどう組というのは、どうやら幼稚園のクラスの名前のようだ。
「ソウタ君は私の未来のダンナさまだけど、今はまだ子供だから」
……イマドキの幼稚園児はマセている。
舞はそう思ったが、言えなかった。
「今一番カッコイイのは友季だから、私の今カレは友季ね!」
……イマドキの幼稚園児のマセ方って怖い。
舞はそう思ったが、やはり言えなかった。
「お姉ちゃんは、友季の何なの?」
愛華が、不意に舞のことを睨み付けてきた。
「えっ……えっと……」
友季に恋している女の子に向かって“私が友季の彼女だよ”なんて言えなくて悩んでいると、
「お姉ちゃん、すごくキレイ」
愛華が突然キラキラとした目で舞を見つめた。
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