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舞の目をしばらくの間見つめていた初華は、
「はぁー。私も、そろそろダンナと仲直りするか」
大きな溜息をついた。
「私たちのせいで、あなたに振られるかもって友季に怒られたから。ごめんね」
顔があまり似ていない姉弟だと思っていたが、困った顔をする初華は友季によく似ている気がする。
舞はそんなことを考えながら、
「いいえ」
首を横に振った。
「アイツが彼女出来たなんて嬉しそうに教えてくれたのは初めてだったから、邪魔するつもりはなかったんだけど……愛華がね」
困った顔のまま、今度はソファーでうとうとし始めている娘を見る。
「友季の気を引きたくて、お風呂にスマホ沈めるわ、私のリップでイタズラするわで」
「……」
スマホが壊れたのは、修羅場になったからではなかった。
まぁ、初華が友季の実の姉だと分かった時点で、違うだろうなとは思っていたが。
「友季ー? 私たち、もう帰るからね」
トイレに籠ったままの友季に向かって声をかけた初華は、娘をそっと抱き上げる。
「あ、お手伝いしましょうか?」
舞が慌てて名乗り出ると、
「駐車場の私の車まで荷物運ぶのお願い出来る?」
初華は嬉しそうに微笑んだ。
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