浮気相手の正体

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「舞ちゃんにばっかり任せてないで、アンタも手伝いなさいよー!」 1人で荷物を全て抱えようとしている舞を見かねて、初華がトイレに籠ったままの友季を呼ぶ。 「……ごめん、舞。俺が持つよ」 トイレから出てきた友季が、気まずそうな顔を舞へと向けた。 マンションの駐車場から初華と愛華を乗せた車を見送り、舞を連れたまま部屋に戻った友季は、 「舞……」 玄関の扉を閉めた瞬間、靴も脱がずにその場で舞を思い切り抱き締めた。 「と、トモくん?」 「浮気疑われるような事態にしてごめん。姉貴が来てるって最初に言っておくべきだったのに……言いたくなくて」 それは舞を家族に紹介したくなかったという意味だろうか、と舞は不安になったが、 「姉貴のことだから、舞をランドセルの天使って呼んでたこと絶対にバラされると思って」 友季の、姉に対する信用の問題が原因だった。 「なんでそんな風に呼んでたのか、聞いてもいい?」 実は物凄く気になっていたので、舞はここぞとばかりに友季の顔を覗き込む。 「名前も知らなかったし……何より、クッキー食べてた時の舞の笑顔が、俺には本当に天使に見えたから」 正直に答えた後で、 「……俺、めちゃくちゃキモいよな」 舞を抱き締めた姿勢のまま、激しく落ち込んだ。
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