浮気相手の正体

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「……“バンソーコーのお兄ちゃん”よりは綺麗な響きだと思うよ」 何か他にいい呼び方はなかったのか、と今更ながらに思うから。 「確かに、すげーダサい響きだよな」 友季も思わず苦笑してから、 「なぁ、舞……」 友季にしては珍しい甘えた声で舞を呼んだ。 「今日はもう帰らないでくれ」 「えっ……?」 「舞と離れたくない」 友季にますます強く抱き締められて、舞は言葉を失う。 「ダメか?」 捨てられた子犬のような不安そうな目で見つめてくる友季に、ぎゅっと胸が苦しくなった。 ダメなわけなんて、あるはずがない。 「ううん。私も、トモくんのこと独り占めしたいもん」 友季の唇を奪い、彼の膝の上から動こうとしなかった愛華に対して、嫉妬してしまっていたのは事実だから。 「なんで急にそんな可愛いこと言うかな……」 友季は溜息をつきながら、舞の左肩にそっと顎を載せる。 「……襲うの我慢出来なくなりそう」 「……!?」 それは無意識に零れた本音だったようで、発言をした友季本人は、そのことに全く気付いていなかった。
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