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「トモ、くん……」
角度を変えるために一瞬だけ唇が離れた隙に、舞が慌てて友季を呼んだ。
「うん?」
友季は、すっかり熱の籠ってしまった眼差しで、自分の下にいる舞を見下ろす。
「その……私、トモくんとだったら、いいよ」
震える声と勇気を振り絞ってそう言った舞を、
「……」
友季は黙って見つめていたが、
「……んっ」
再び貪り食うようなキスを落とした。
しばらくしてから、そっと唇が離されて、ソファーの上から抱き起こされる。
「……舞を大事にしたいから、まだいい」
そのまま、友季にぎゅっと強く抱き締められた。
大事にしたいと思われるのは、とても嬉しいことだと舞は思ったのだが……
それと同時に、少し寂しい気持ちにもなった。
そんな複雑な気持ちを、きちんと友季に伝えることが出来ていれば、きっと喧嘩をすることもなかっただろうに、と――
後悔することになるのは、そんなに先の話ではない。
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