疑惑

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疑惑

この日は厨房メンバーである舞たち従業員は全員出勤だが、友季だけがシフトで休みの日だった。 リーダーである上田(うえだ)の指示の下、なんとか無事に一日の業務を終えた。 いつもなら自分の休みの日だろうと、少しくらいは店に顔を出しては上田に追い返されている友季が、今日は一度も顔を見せていない。 友季と付き合っているからと言って、友季の休みの日の行動を把握しているわけではない舞は、着替えをしている間もチラチラとスマホを気にしていた。 『無事に仕事終わったよ』 とメッセージを送ったのだが、既読のマークすら付いていないのが気になった。 スマホの画面から視線を移し、バッグの中をチラリと見る。 バッグの内側に付いているオープンポケットに入れている、銀色の鍵。 色とりどりのドーナツを模したキーホルダーを付けたそれは、つい最近渡された、友季の部屋の合鍵。 それをしばらくの間見つめていた舞は、 『今から会いに行ってもいい?』 友季にそんなメッセージを送っていた。 やはり、既読のマークは付かなかったが、 “いつでも俺に会いに来て” そんな友季の言葉を思い出し、このまま会いに行くことを決意した。 もしかすると、単にお風呂に入っていて返信出来ないだけかもしれないし。 そんな軽い気持ちのまま、舞は友季のマンションを目指して歩き出した。
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