だから私は傷つかない

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だから私は傷つかない

久しぶりに家に帰ると彼が知らない女の子と寝ていた。 私たちのベッドの上で。 それを見て激怒する自分をどこかで冷静に観察している私がいて、 あぁ、私は彼のことが好きだったんだと、 改めて痛感した。 その家に帰ってくるのは1年半ぶりだった。 結婚の約束をして、一緒に住み始めたのが2年前。 私がこの家に住んでいたのなんてほんの半年のことで、彼女がそこにいること自体には嫌悪感はなかった。 彼の横にいる、ただそのことを除いては。 「最近うちの会社で働きだした子がお金がなくて困っている。だからしばらく家に泊めてあげることにしたんだ。」 彼が電話でそう言ったとき、私は何と答えたんだったか。 きっと私は仕事のことしか考えていなかった。 その相手が女の子だと聞いたときも、仕事の都合でこの家を離れることになったときも。
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