踏み込めない境界

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でも、最初に彼の意見を流してしまったのは私だったのかもしれない。 私はこの関係を、大事な後輩を失うのが怖かったのだ。 「今日ぐらい、僕に払わせてください。」 いつものようにお会計をしようとした私に彼の手が重なる。 「でも…」 「今日で、最後なんですから。」 今度は聞き流すことはできなかった。 「そう、だね。」 うまく答えられたかわからない。 でも、私は、大事な後輩を失うのが怖いと思っていた私は本当は、彼を失うのが怖かった。 でも彼が最後に選んだのはやっぱり、私の後輩でいることだった。それ以上に、彼は踏み込んでこない。 彼は私がいなくても平気なのだ。 そしてそれはきっと私も…。 「ありがとう、あなたみたいな後輩がいて私は幸せだったわ。」 END
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