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別に幼なじみに手を挙げるつもりはないが、勢いで蓮の胸倉に掴みかかろうとした腕は何者かによって逆に掴まれ体が宙に浮いた。
え?浮い、た?
その体を受け止めてくれる人がいるはずもなく、ダンッと床に背を打ち付ける。
「っテェ……!」
「ちょっと~!ひなたんに手挙げたらダメでしょっ!?」
「ただの挨拶ですよ。」
「簡単にやられるとは、まだまだですね。」
痛む背を庇いながら蓮に手を引かれ上体を起こす。
顔を上げて見れば目の前に校舎にはそぐわない黒服姿の2人が口端をつりあげ見下ろしていた。
「あー……、新田さんじゃないっすか~はは。」
蓮のボディガードだった。
俺喧嘩は強い方だけど流石に本職の人には勝てませんって。
なんと二人はそっくりな双子だ。昔からやんちゃな性格していた俺はよくこの兄弟にプロレスごっこを仕掛けていた。
そんな俺にも嫌な顔せず構ってくれていた、というか気が付いたら戦い方を教えこまれていたんだけども。俺は割とこの二人が好きだ。
つーか校舎にまで連れてきてんのかよ?蓮とは小学生まで同じ学校に通ってたが当時は流石に校舎まで入ってきてはいなかった。
そんな思いを読みとったのか蓮は舌をペロリと出して
「ここのセキュリティーは万全だけど、ほら、僕かわいいからさっ!」
とかぬかしやがったのでチョップをお見舞いしてやった。
あ、新田さんからの視線が痛いです。
確かに蓮はかわいい、見た目だけなら。見た目だけな。
雨宮より低い身長に色素が薄いため天然の茶色い髪と瞳、そして白い肌。二重でぱっちりおめめに睫が長かったりアヒルのような唇。ほっぺはもちもちしてて触り心地がいいんだよな……。
だけど中身はぜんっっっぜん可愛いくねぇ。常にボディガードつけてる時点で頭おかしいわ、男同士の絡みを見ると鼻息荒くして騒ぎ出すわ。
「ってそんなことより!!なんで携帯繋がらなかったのさっ!?まさかこの僕を着拒……」
「親父に携帯新しくさせられたんだよ。」
「チッ。そっか…それは予想外だった……。はっ!こんなことしてる場合じゃない!食堂行かなきゃ!!ほら早く行くよ!雨宮くんもっ!!」
「えっ!?えええええ!?」
どうすればいいか分からずにずっと突っ立っていた雨宮と俺の手を掴み、蓮は走り出した。
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