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「い~やぁ~だぁあぁあぁああ!!!」
「あーうぜぇ!」
あの後食堂に来た俺らは周囲の視線を集めながらも何事もなく食事をし何事もなく戻ろうとしていた。
そう、何事もなく……。
「なんでっ!?なんで何もないの!?副会長は!?生徒会はっ!?食堂イベントわぁあぁああ!?!?」
と、喚きながら俺の腰にしがみつく蓮。
ほんとは食事が終わったところで戻ろうとしたんだが、コイツがまだダメと引き止めるもんだから仕方なしに付き合っていた。
けど、あたりを見渡せばもう人っ子一人いない。こんなとこにいつまでいても意味ねぇし流石に戻りてぇんだが。
相変わらず雨宮はオロオロとしていて役に立ちそうにない。ボディガードは身の安全を守るだけの契約だからか基本蓮に口出しはしないし、どうしたもんかとため息をつけば。
「何をしている。」
凛としていてよく通る声が食堂に響いた。
そちらを見ると如何にも真面目ですってやつがいた。こいつほど眼鏡が似合うやつはいないだろう。
雨宮も真面目な部類だが、雨宮と違って威圧感が半端ない。ピリッとしたオーラを纏っていて近寄りがたい雰囲気がある。
「げぇ、風紀いいんちょー……。」
「もうすぐ授業が始まるだろう。教室に戻りなさい。」
そう言いながら蓮の首根っこを掴みズルズルと引っ張って行ってしまった。
蓮がそんな扱いを受けているのにも関わらずボディガード達が大人しく後をついて行ったことに首を傾げる。
「風紀委員長……花京院 徹(カキョウイン トオル)って言うんだけどね、総理大臣の息子さんなんだよ。唯一、帝先輩に意見を言える人。」
「唯一?」
「帝先輩って理事長の孫でしょ?だから、今この学園を牛耳ってるって噂だよ。」
「そりゃ……ご苦労様なこった。」
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