手で淫らと書いて手淫と読む

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手で淫らと書いて手淫と読む

「ヤりてぇ。」  転入してから3日目の放課後、俺は自室のベッドに横になりながら呟いた。  学園生活の方はなんとか上手くやっていけてる気がする。  真面目に授業受けることにも慣れてきて、あれ以来サボっていない。つーか唯一のサボリ仲間かと思われた玲輝は意外にも真面目に授業受ける奴だった。エセ不良かこのやろー。  そして今、俺は、生命の危機に陥っている。  いや、性命の危機だ。 「5日も禁欲……ありえねぇ。」  転入を告げられた日から準備で忙しくてヤる暇もなかった。  この俺が……毎日のようにセックスしてたこの俺が5日も何もしてないなんてありえねぇぇ!!  自慢じゃねぇが俺はオナニーしたことねぇんだよ!  今までなら黙ってるだけで周りから寄ってきてたもんだから困ることはなかったんだが、この学園の奴らは遠巻きに見てくるだけで近寄って来ない。  土日になれば外出届け出して外に出られるが俺はもう我慢できない。ヤリたい。今すぐ。 「仕方ねぇ。」  側にあった携帯を掴み連絡先を見る。  携帯は新しくされてしまったため登録されてるのはたったの4人。  親父と蓮と雨宮と玲輝。  俺はその中の一人を選ぶと部屋に来いとメールを打った。 *********** 「日向くんどうした?」  カチャリと部屋の扉を開けて入ってきたのは同室の雨宮 颯斗。  だいぶ俺に慣れてきたみたいで、最初の頃のオドオドした感じはすっかりなくなり砕けた話し方になってきた。 「ヤバい、俺はもうヤバいかもしれねぇ。」 「え!?大丈夫!?」  慌てて駆け寄ってきた雨宮の腕を掴んで引っ張る。  バランスを崩した雨宮は俺の上に見事ダイブしてきたが、逃がすまいとばかりに体を抱き寄せた。
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