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「つーか学校の方は?俺が転校したとかなんか言ってなかったか?」
涼と俺は同じ学校でクラスメイトだった。
もちろん涼もまともに学校行く奴じゃねーけど、もしかしたらと思って聞きてみる。
「て、転校!?転校したのか!?どこに!」
「は、話すから、落ち着けって。」
そして再び肩を掴まれガクガク揺さぶられた。
この様子だと学校には行ってないみたいだな。
まだメンバーは揃って無かったが俺の時間があまりないから説明するか。
涼から離れ、一度メンバーの顔を見渡す。
「親父にさ……。」
「~~~!!~~~~~~!!!」
がしかし、口を開いたところで遠くから叫び声が聞こえ、なんだ?と思って声がする方に顔を向ける。
「哉斗か……。」
叫びながら全速力で走ってくる奴を見つけてポツリと名前を呟いたら、メンバーの奴らがそっと俺から距離を取った。
不思議に思ってメンバーの方に顔を戻した瞬間。
「ぐっ!」
「ぞーーぢょーーーー!!!ぞ、ぞーーぢょおおおおおおお!!!」
後ろから物凄い衝撃を受けて口からカエルを押しつぶしたような声が漏れた。
なんとか足を踏ん張って倒れないよう耐えたが、後ろからしがみついてる奴は何か喚きながらわんわん泣いていた。
普段ならここで回し蹴りの一つでもお見舞いしてやるとこだが、心配をかけてしまった罪悪感があるから今日は許してやろう。
ゆっくりと振り返って肩を押してそっと離れさせ、俺より低い位置にある黒髪をぐしゃぐしゃしながら撫でてやる。
哉斗は俺の一個下で、たまに暴走するけど素直で可愛いやつだ。
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