手で淫らと書いて手淫と読む

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「そ、総長……頭いーんすか……?」  哉斗が宇宙人を見るような目で見てきたからとりあえずゲンコツしといてやった。  確かに頭はそんな良くねーよ!? 「哉斗、お前知ってんの?」 「あ、はい。ちょー頭良くないと入れないとこっすよ。」 「マジで?ひなたがそんなとこ入れるわけねーよ。」 「やっぱそうっすよね……。」 「あ、あいつん家金持ちだからな……。金にモノを言わせて……。」  二人でこそこそと、けどはっきり聞こえてくる内容にこめかみがピクピク動くのを感じた。  最後に煙草を吸って肺が空になるまで吐き出し、俺ら用に用意した灰皿に押し付けて火を消す。  いつも使う場所だから、適当に捨ててたら汚くなるからゴミはちゃんとしている。  ゆっくりと二人に近づき、頬を同時に摘まんで思いっきり引っ張ってやった。 「おめーらぁ……覚悟は出来てんだろーなァ?」 「いででででで!」 「いだだだだだ!」  仕上げとばかりに引っ張る勢いで手を離すと痛そうに頬をさすっていた。 「はぁ……。そんで、おめーらに話があんだけどよ。」  溜め息を吐いて自身を落ち着かせ、真剣な面持ちでメンバーを見渡しながらみんなに聞こえるように言った。  そしたら、他のメンバーと雑談してた翼さんの視線が強く突き刺さった。  一瞬、気後れしそうになるも、重い口を開いた。 「俺……チーム抜けるわ。」 「な、なんでっすか!?」 「おいおい、冗談だろ……?」  俺の話しを聞くため静かになったメンバーは一斉にざわついた。 「どういうことだよっ!?」 「どうもこうも、月一で、しかも数時間しかいれねぇ奴が総長なんざ勤まるわけねーだろ。」  涼に胸倉を捕まれ凄まれたが、俺は冷静に返した。
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