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泣きそうなのを堪えて無理に笑ったから変な笑顔になってたかもしれない。
でもそれをバカにする奴はいなかった。
その気遣いにさらに胸が熱くなる。
「良かったな~哉斗!背中に刺青入れた甲斐があったな?」
「ちょっ涼さん!それは言わない約束っ!!」
「……刺青?」
背中って……まさか。
哉斗に近付くと逃げようとしたが、後ろから腰に片手を回して捕らえ、上着をめくり上げる。
そこには見覚えのあるマークの赤い翼があった。
「……。」
「そ、そんな見ないで下さいよ~……。」
ジッと背中を見ていたら、恥ずかしさで顔を真っ赤にした哉斗が弱々しい声を漏らした。
力を緩めると、逃げるように俺から離れた哉斗は涼を睨みつけ付けた。
「涼さんだって一緒に彫りに行ったくせにー!!」
「は?」
涼の後ろに回って上着をめくると予想通りのマークで青色をしていた。
「きゃーっえっちぃー!」
照れ隠しなのか、わざとらしく高い声を出してそんなこと言っていた。
「俺らだけじゃねーぜ?」
服装を正した涼が他のメンバーに顔を向けるとそいつらは次々に背中を見せてきた。
「俺、紫にしたんっすけど!」
「俺は黄色ー。」
「緑なんすけどどうっすか?」
こんな公園で、男の集団が背中を晒しているなんて笑える光景だけど、俺は笑えなかった。
「お前ら……バカだろ……。」
俺は我慢出来ずにその場にしゃがみこんで顔を手で覆った。
バカだ。ホントにバカだ。
刺青なんて一生身体に残るもんなんだから、それなりの覚悟をしたかただのバカだ。
でもこいつらはただのバカで入れたんじゃないっつーのが分かったから、俺の手が濡れてしまったんだ。
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