手で淫らと書いて手淫と読む

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 バイクのとこまで行ってヘルメットを手にした翼さんに向かって、90℃くらい腰を折って頭を下げた。 「頭上げろ。」  言われて頭を上げたらバイクに跨ってエンジンをかけたところだった。  エンジンの入ったバイクからドッドッドッっていう音が聞こえる。 「お前が本当にチームを抜けるときはな、チームより大事なもんが出来たときだ。」 「はい!」  エンジンの音を響かせながら遠ざかって行く後ろ姿を、俺は見えなくなるまで見送った。  その後、メンバーの元に戻って酒を煽りながら時間までわいわい騒いでいた。 「そーいや、土曜日なのに哉斗がここにいるの珍しーな。お前土日はいつも来なかっただろ?」 「そりゃ!総長が見つかったって聞いたら来ないわけないじゃないっすか!」 「見つかったってなぁ、俺は珍獣かなんかか。」 「そーいえばぁ、なんで哉斗は土日来ねーの?俺さぁ、てっきり土日は身長伸ばすためにずっと寝てんのかと思ってたんだけど。連絡したらフツーに起きてっし。」 「な!俺より身長が……ちょっと、ほんのちょっと!高いからって!」  俺たちの会話に入ってきた涼の言葉に、哉斗は大袈裟に答えた。  哉斗は170cmくらいあるから、そんな気にするほどのことかー?って思うが、俺と涼が175cm越えてるし、一緒にいると気になるのかも知れない。  それを知っていて涼がいつもからかうから、それもまた原因の一つだと思うけどな。 「で?なんで土日来ねーの?」 「べ、別にいーじゃないっすか!家庭の、事情っすよ!」 「そんな隠されっと余計気になんだろー!教えろよー!」 「い、言わないっ!ぜってー言わないっすからっ!」
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