手で淫らと書いて手淫と読む

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 涼と哉斗がぎゃあぎゃあ言い合ってるいつもの光景を見て俺は密かに笑った。 「じゃ、俺もう行くわ。」  メンバーに向かって軽く手を上げると、みんなも手を上げ返してきた。 「総長!また!」 「またなー!」 「また会いましょう!」  またな。いつも聞いてる何気ない言葉が、今日はすんげー嬉しく感じた。 *********** 「日向(ひゅうが)くん、ちょっと待ちなさい。」  学園に戻って寮に入ったとき、管理人に呼び止められた。 「その袋、没収ね。」 「……えっ。」  俺の右手に持ってる袋を指さされてギクリと肩を揺らした。  学園に戻る前に一度Wingに寄ったとき、翼さんから貰った酒やらが入ってる袋だ。  俺が渋々差し出した袋の中身を管理人はチェックし始めた。 「ああ、これは持っていっていいよ。はい。」 「…………。」  そう言って出された物は、ローションとコンドーム。  俺は無言でそれを受け取り歩きだした。  後ろから、「強姦は犯罪だからなー」って聞こえたけどシカトした。  その足で向かった先は俺の部屋ではなく、2つ隣の玲輝の部屋だ。  颯斗は毎週土日は実家に帰るっていっていたから部屋に戻っても誰もいないし。  玲輝はいるかどーかわかんねーけど、とりあえずインターフォンを押してみた。  しばらくすると扉が開いたので、迎えに出た相手に笑顔で手を振った。 「よっ。」 「…………すみませんが、間に合ってますんで。」 「ちょっ!待て!」  俺を見るなり扉を閉めようとしたので、慌てて隙間に足を入れて止めた。  つか、すみませんがってなんだよ!?
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