手で淫らと書いて手淫と読む

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 扉を開けるか閉めるかで攻防してると、ふと玲輝の視線が気になって目線を追った。  その先には、手に持ってるローションとコンドーム。 「ち、ちげーから!勘違いすんな!」 「……ふ、半分冗談だ。」  それって半分は本気ってことだろ!?  けど、やっと部屋に入れてくれたので俺は黙って中に入った。 「えっ……さ、酒がある!!」 「ああ、飲むか?」  入った先のテーブルには、ジンとトニックウォーターとカットライム、他にも灰皿やアクセサリーの雑誌が置いてあった。  なんでだ?持ち込み禁止なんじゃねーの??  不思議に思って玲輝の方を見ると氷が詰まったグラスを持ってきてくれて、マドラーで数回回し軽くグラスを冷やしてからジンを注ぎ始めた。 「お、俺……今さっき没収されたんだけど……。」 「兄貴にこっそり送って貰ってんだよ。いちいちダンボールの中身チェックされねーからな。」 「……サンキュ。」 「あと、上手く隠しときゃバレねーぜ。」  カットされたライムを絞りトニックウォーターを入れて混ぜれば、ジントニックの出来上がりだ。  俺はローションとコンドームをテーブルの上に置いて玲輝の隣に座り、有難く受け取って一口頂いた。うめぇ。 「つか、なんでそんなもん持ち歩いてんだよ?」  自分の分を飲み干した玲輝は新たに酒を作りつつ、胡乱な目でローションやらを見ていた。 「唯一の戦利品だ。」 「は?」 「酒とか全部没収されたんだけどよー、これは持って行ってもいいって。」 「なる。」 「あ、でも!」  ハッと思い出してポケットの中に手を突っ込むと慣れた紙の感触。  ニヤリと笑ってそれを取り出した。 「これはバレなかったぜー!」 「だから言ったろ?そんなに管理厳しくねーんだよ。」  俺の手には溜まり場で吸っていたタバコの箱があった。
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