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接して近づくと書いて接近と読む
「……ん……?」
意識が浮上してきてゆっくり目を開けた。
しばらくして意識が完全に覚醒すると俺は布団の中にいることが分かった。
布団を剥いで起き上がって見るとスウェット姿になってる。
多分玲輝のだ。
ベタベタする感じもないし……後処理してくれたのか。
「……れき。」
俺に背を向けてベッドに腰掛けている奴に向かって声をかけたら肩がピクリと反応したけど、返事は返ってこなかった。
つか、俺の声かすれてるし。
喉がカラカラなことに今気付いて周りを見渡したらベッドの上の台に水のペットボトルが置いてあった。
これ、わざわざ用意してくれたんだよなーきっと。
ありがたく戴いて喉を潤してから再び玲輝を見る。
ふーっと吐き出された紫煙が後ろ姿から覗いていた。
「玲輝、俺もー。」
やっぱり返事はなく振り向きもしなかったけど、煙草の箱とライターが飛んできた。
それを受け取り火をつけて肺いっぱいに吸い込む。
はー、うまいうまい。
「玲輝さ、颯斗のこと好きなの?」
「…………。」
先程よりも肩が大きく揺れて、やっぱりって思った。
あの時は酔ってて深く考えてなかったけど、颯斗の名前出したら明らか玲輝の様子が変わった。
てかちょっとキレてたよな。
「玲輝、ごめんな。」
知らなかったとはいえ手を出したことは確かだ。
つっても、抜き合うのが目的でやったけど。
恋愛感情持ってるっていうなら話は別だろう。
玲輝の隣に移動して同じようにベッドに座る。
近くにあった灰皿に灰を落とした。
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