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背中の衝撃と、肩に圧迫感。唇に柔らかな感触がしたかと思えば口ん中に入ってきた生暖かいもの。
そして……目の前にある、漆黒の瞳と、ばっちり、合った。
「んッ!!」
な、なんだ!?こいつにキスされてる!!!
「っ……ふぁ、めっ……ん!!」
やめろ。と言おうとした口は塞がれてるせいで変な声出しちまった!
まぁ口で言ってもやめるような奴には見えねぇ、ここは力付くで……。
キスを止めさせようと伸ばした手は、しかし、途中で止める。
いや待てよ……さっき考えてたじゃねぇか。男ばっかでもいっかなぁなんて。
親父にはバレてなかったが、俺は男とも寝れる。ただ、言い寄ってくる女がたくさんいて相手に困らなかったからヤるのは女が圧倒的に多かったってだけで。
ならば……据え膳は、食う!
途中で止めていた手を先程とは違う意味を持たせて再び伸ばす。
右手は手触りのいいサラサラとした髪に、左手は見た目よりもしっかりとした腰に。
引き寄せるように力を入れて更に口付けを深くした。二人の間に隙間がないくらい密着して、自ら舌を絡ませる。
主導権を握ろうと舌を相手の口内に押し込みまさぐるも、譲る気はないようで食い合うようなキスが続いた。
ようやく唇が離されて、けれど唇同士が掠るくらい近い距離で見つめ合った。
「っ、気持ち良すぎてその気になったか?」
「勘違いすんな、てめぇで妥協してやっただけだ。」
「ハッ、言ってろ。」
そうだこれは妥協だ。いくら見た目が良くても中身最低クソ野郎とこれからよろしくする気はさらさらない。
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