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「でもほんと、ただ抜きあっただけだし。そーゆーことならもう颯斗ととはやんねーよ。」
うん、抜きあっただけ、ということにしとこう。
それに人のモンに手出す趣味ないし。
むしろ二人が上手くいったらいいなと思う。
「応援するぜ?」
ニッと笑って隣にいる玲輝を見たら、一瞬だけ目が合ってすぐ反らされた。
「…………俺も、悪かった。」
すごく小さい声だったけどやっと言葉が返ってきた。
「いやまー、俺から誘ったわけだし。でもまさか玲輝がドSだったなんてなー!」
「ムシャクシャしてやった。」
後悔はしていない。
なんつって。
短くなった煙草を灰皿で揉み消して時計を確認したら、朝10時という微妙な時間だったけど。
「腹減った。」
「だな。」
***********
俺は一旦部屋に戻ってスウェットからラフな私服に着替えた。
平日は食堂開いてる時間が限られてるんだけど、休日は朝から晩までずっと開いてるらしい。
でも、学園に残る奴は1日中部活動に励む生徒が多いから混む時間は変わらないんだと。
食堂に着いたら確かにいつもより人が疎らだった。
それでも俺と玲輝は端の方の席に向かい合って座った。
「いやー、うるさいのがいないってのもいいねー。」
人数が少ないおかげで食堂が静かだって理由もあるが、蓮がいないってのも大きい。
食堂に行くときは当たり前のように蓮がついてくる。
初日のときのように引き止めてきたりはしないけど、生徒会が来て食堂がざわつく度に目をキラキラさせて見つめ、最後は落胆して帰るのがいつもの光景になっていた。
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