接して近づくと書いて接近と読む

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 俺は銀色のカードをタッチパネルに通してチキン南蛮を頼んだ。  このカードはカードキー兼クレジットカードになってるからこれで注文と会計が済む仕組みになってる。後はウエイターが持ってくるのを待つだけ。  さすがおぼっちゃま校だ。  しかも良くわかんねー高級料理みたいなのもメニューにあるけど、俺はそーゆーのは口に合わない。  食えなくはないけど、庶民ってかフツーの料理のが美味いと思う。  多分中学の頃からほとんど家に帰らず外で食ってたからだ。  しばらくして運ばれてきた料理を見たら玲輝は鮭定食だった。和食かよ。 「そーいや、玲輝ってハーフ?」  聞くほど気にしたことなかったけど、今思えば玲輝は和食を良く食ってた気がする。  あれか。日本文化大好きな外人的なあれか。 「親父がロシア人。」 「へー!いいなロシア人。金髪碧眼の美女とか紹介してくれよ。」 「……お前には紹介しねー。」 「なんでだよ!」  そんな会話をしつつ飯食ってたら、食堂が騒がしくなった。  ああ、生徒会が来たな……。  せっかく今日は静かだったのに、こんな中途半端な時間になんて運が悪いんだ。  人が少ないおかげでいつもよりマシだけど、毎日毎日騒いで飽きねーのかね。何が楽しいんだか。  食堂が騒がしくなっても俺たちはその中心人物に目を向けることもなく相変わらず飯を食ってたら、隣の席に誰かが座った気配がした。  食堂空いてんのに、わざわざここに座りたいほどお気に入りなのか?  と疑問に思いつつも特に気にせず食事を続けた。 「で、この前さー、」 「……おい、早く食え。」 「えっ?……ってか早っ!」  急になんだと玲輝の方見たら、先程まで半分くらい残ってたはずの魚が骨になっていた。
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