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玲輝は眉間に皺を寄せていて見るからに不機嫌だ。
「え?わりぃ、俺なんかした?」
さっきの発言地雷だったか?
「ちげーよ、早くしろ。」
そう急かされて、訳が分からずも食事を再開しようとした、その時だ。
「てめぇなんで部屋に来ねぇんだよ。」
玲輝よりも低い、どこかで聞いたことある声が聞こえた。
この声まさか……。
そう思って声がした方――隣に顔を向けたら。
「こっち向くな。前向いてろ。」
とか言われた。
そっちから話しかけて来ておいてなんなんだよこいつ!!
相変わらず分けわかんねーやつだったけど、逆らうのもめんどーだしなにより玲輝からの威圧感がハンパない。
さっさと食ってしまおうと料理を口に運んだ。
「ホントに、あなたの趣味は理解できませんね。こんなのどこがいいんですか?」
俺の斜め前、玲輝の隣に座った奴が口を開いた。
……こんなの、って俺のことか?
また関わったらめんどくさそーなやつがいるなぁ。
目線だけ声がした方に向けると女みたいなやつだった。女って言っても可愛いタイプではなくモデルのような美人だ。
背中まで伸びている栗色の髪を、細くて長い指で優雅に耳にかける仕草が印象的だった。
「はっ、和優の趣味の方が理解できねーよ。……それよりひなた、今夜俺の部屋に来い。」
「は?」
「カードキー渡しただろ。まさか無くしたわけじゃねぇよな?」
「え?」
待て待て待て、マジでこいつの言ってることわかんねー。そもそも俺こいつの部屋に行くとか約束した覚えねーぞ?
しかもこいつがこっちを見るなっつーから飯を見ながら返事を返してるこの状況、とてつもなく変な感じがする。
「金色のやつだ。それがねぇと最上階まで上がれねぇからな。」
金色……?
そういや、勝手に胸ポケットに入れられたのあったな。完全に忘れてた。
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