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そういう類いの遊びなら近くで見てきたけど、主に翼さん関係で。
でも翼さんは一人に絞らない人だった。
絞るってことはその一人に集中するわけだから確かにそうとうしつこそうだ。
「ちょ、ちょっと待ちなよっ!」
玲輝と部屋に向かって歩いていたら後ろから声が飛んできた。
立ち止まって振り向いたら、チビがいた。しかも3人。3人ともチビ。
そして何故か睨んできてる。
同じように振り向いた玲輝はそいつらを見て舌打ちをしていた。
「あんた、さっき会長様とお話ししてなかった!?」
「……会長様?」
3人の中で真ん中にいる奴が噛みつかんばかりの勢いで俺に向かって言ってきた。
会長っつーのはここの生徒会長のことだろうなきっと。
そんなこと言われても会長が誰だか知らねーんだが。
お話ししてたっつーと……玲輝?いやそんなわけねーよな。
「してねーよ。散れ。」
俺がなんて答えようか考えあぐねていると、代わりに玲輝が返事を返してくれた。
なんだしてないのか。こいつらの勘違いじゃねーか。
玲輝に睨まれたチビ達は一瞬怯んだが、さらに目を吊り上げる。
「そう……、あんた転入してきたばっかだし今回は見逃してやるけどね!たまたま、偶然っ!会長様が近くに座ったからって調子にのんないでよ!?」
「そ、そうだよ!たまたま、偶然っ!なんだからっ!」
「たまたま、偶然っ!でも近付くことは許されないんだからね!!」
たまたま、偶然!をやたら強調して言い放った奴らは逃げるようにして走り去って行った。
「なんだったんだ今の……。」
「親衛隊だろ。」
もともと悪かった玲輝の機嫌は、今の一件で奈落の底まで落ちたんじゃねーかってくらい悪くなってしまった。
今にもうなり声が聞こえてきそうだ。
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