初めて対面すると書いて初対面と読む

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「残念だが俺様は外でヤる趣味はないんでな。今日はここまでだ。」 「ああ?てめぇとヤるなんて一言も言ってねぇ。」  そっちからキスしてきたからそれに答えてやっただけだ。なんつって……それ以上求められたら受け入れてたかもしんねーけど。 「ほらこれ、絶対無くすなよ。」  やっとのことで離れた奴は制服の内ポケットから金色のカードを取り出すと、それを勝手に俺のポケットにしまう。 「あ?んだよこれ……。」 「そろそろ行くぞ。」  俺の問いは虚しくスルーされ、さっさと歩き出してしまった。  そこでハッと先程考えていたことを思い出して慌てて追いかける。 「お、おい待てッ!」 「なんだ。」 「まさか……この学園、森ん中で生活するわけじゃねぇよな……?」 「はっ??」  ピタリと奴の足が止まってしかめた顔をこちらに向ける。 「だから、全寮制っつーのはここでキャンプするからとかじゃねぇよな?って聞いてんだよ。」 「キャンプ……?っく、ははははははは!!」  俺の言いたいことをようやく理解したかと思えば腹を抱えて笑い出した。 「なわけ、ねぇだろっ……はは、」 「なってめ!じゃあなんなんだよこの森は!!」  俺は恥ずかしさやら怒りやらで握った拳がプルプルと震える。 「はっ……お前、気ィつけろよ。」 「はぁ!?なんなんだよさっきから!!」  ダメだこいつぜんっぜん会話が成り立たねぇ! 「他の奴に、簡単に連れ込まれんじゃねぇよって言ってんだよ。」 「連れ込まれ……?」 「はぁぁ、こんなとこでキャンプなんざするわけねぇだろ。下心でここまで来たんだ。他の奴にはホイホイ着いてくんじゃねぇぞ。」 「なっ!てめっ、案内役だろ!?」 「だからって少しは疑問に思わねぇのかよ?危なっかしいな。」 「っ!お、お前に!心配される筋合いはない!!」 「何言ってやがる、お前は俺のもんだろ。」  ああ、誰か。こいつをどうにかしやがれ!!
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