【ショート・ショート】ワタシノート

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冷ややかな秋風が、私の身体全体に吹き付けられてきた。 その秋風を私は仏頂面で受け流すと、バッグを背負い、重い足取りで校門を後にする。 周囲を取り巻く喧騒が、私の神経を逆撫でする。 ふと顔を上げ、ぐるりと通いなれた通学路を見渡すと、私の周囲は友達と談笑しながら帰宅の途についている生徒で溢れていた。 内向的な性格の私は、友達と呼べる存在がいなかった。 そのせいで、下らないイジメを受けた事も多々ある。 もちろん、小中高と私を取り巻く状況を心配したクラスメイトが、何かしら話しかける事で私と交遊関係を築こうと試みてきた事がある。 けど、()を通しすぎる私の性格とニッチな趣向が災いしたのか、話しかけてきたクラスメイトは会話が噛み合わないと分かると、皆、苦笑いを浮かばながら、私の前から去っていった。 言わば、私は生まれて16年間「孤独」とも言える学生生活を送ってきた訳だが、周囲が不思議と思うくらい、私は自分の事を「孤独」と思った事は無かった。 campusノート上で私が生み出した、様々なオリジナルキャラクター。 そのキャラクター達が、独りぼっちであった私の心を、お菓子のマーブルチョコレートみたくカラフルに彩っていたからだ。
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