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 園部の要望に合わせるために、俺は一度家に帰ると着替えを済ませた。車に乗り換えて再び彼女の家へと向かう。  すると園部もやる気満々というように、デニムにパーカーを合わせて待っていた。 「まさか芋掘りに行きたいと言われるとは思わなかったよ」  助手席に乗り込む園部に、達也はため息をつきながら言った。 「だって今が旬だよ! 美味しい時期に食べないと。本当はずっと行きたかったんだけど、こんなこと誰にも言えないじゃない? たっちゃんが車を持ってて良かった〜」  昔から園部ってこうだったな。見た目はどんどん大人になるけど、田植えとか稲刈りのボランティアに参加したり、家庭菜園で採れた野菜をくれたりもした。 「学校で子ども達が作った野菜を使った給食の献立を考えたりするんだけど、収穫を見ながら、いいなぁって思ってたの。だから今日はちょっとラッキーだった!」 「そんなに行きたいなら、普通に誘えばいいだろ。俺の休日は、料理をしてるか、それに関係する買い物ばっかりだし」  すると少し困ったような顔になり、窓の外に視線を移す。 「……なんか迷惑かなって思って……」 「別に。今日だって、これからどんな芋料理にするかワクワクしてる」 「えっ、私も食べたい」 「じゃあ芋掘りが終わったら、また園部の家で料理するか。あのキッチンなら問題なく何でも作れるし」 「本当? 一日に二食もたっちゃんの料理が食べられるなんて……!」  目をキラキラさせて喜ぶ姿に、達也の方が驚いた。学生時代は普通にモリモリ食べてたじゃないか。 「その代わり、お前は何かスイーツを作れよ。そうしたらフルコースの完成だ」  達也が言うと、園部は驚いた様に目を見張る。そして嬉しそうに頷く。 「たっちゃんとする料理の話ってすごく楽しいんだ。私って時々行きすぎちゃうことがあって、自分なりにブレーキをかけるんだよね。人を不快にさせないようにって思うと、自分は我慢することになるでしょ? それがしんどいなって思うこともある」 「まぁそんなもんだろ。俺だって外では料理男子だってことは隠してる」 「そうなの?」 「前に弁当作って会社に行ってたら、あざと系男子と意味のわからないことを言われた」  達也の言葉を聞いて、園部は爆笑する。なんでそんなに笑うのかわからなかったが、楽しそうに話す声に耳を澄ませながら、達也は車を走らせた。  
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