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 二人は芋掘りを思っていた以上に楽しみ、大量の芋を持ち帰ることになった。達也が持ち帰る分を車に残し、二袋分のさつまいもを園部の部屋に運ぶ。 「しばらくお芋三昧だねぇ」 「ちょっと掘りすぎたな」 「あはは! 確かに」  二人で料理の準備を始めた時だった。達也のスマホが鳴る。誰かと思い画面を見ると、昨日の式にも参列していた友人の千葉からの着信だった。 『もしもし、柴田?』 「おう、どうした?」 『どうしたじゃないよ。昨日あの後どうなったのかと思ってさ』  その言葉を聞いて、達也はフリーズする。やっぱり俺たち、何かやらかしたんだな。 「……あのさ、二次会に行った後の記憶がないんだけど、俺何かやらかしたか?」 『……マジで覚えてないの? 少しも?』 「あぁ、全く。だから教えてもらえると助かるんだが」  達也と千葉の会話が耳に入り、園部も近くに寄ってくる。明らかに彼女もソワソワしていた。 『うん、まぁいいけど……。なんか二次会で園部が別れた男の話をして号泣してさ』  園部が目を閉じて天を仰ぐ。後悔の念が見て取れる。 『で柴田が、そんな男なんかこっちから捨ててしまえー! みたいなこと言って』  なんて小っ恥ずかしいことしてんだ、俺は。頭を抱えて下を向いた。 『やっぱり俺たち以上に合う人間はいないんだよって意気投合してた』 「……そんなこと言ってたんだ、俺たち」 『そうそう。そしたら酔った新婦のお姉ちゃんがさ、ここに婚姻届が余ってるって言い出して』 「……言い出して……?」 『二人して婚姻届にサインしてた。しかも新郎新婦が保証人になってたし。帰る時は園部が柴田を引っ張って行ったからさ、あの後大丈夫だったかなぁと思って心配してたんだよ』  ことの顛末を知り、二人は大きく項垂れる。  なるほど……昨日はそんなことがあったわけか。そこで達也ははっとする。 「ちなみにさ、その婚姻届ってどうなったんだ?」 『園部がカバンにしまってたけど……二人とも大丈夫だった? ちゃんと帰れたの?』  達也と園部は顔を見合わせて苦笑いをする。 「あぁ、大丈夫だ。ちゃんとお互い帰ったよ」 『それなら良かった。まぁあんなの書いちゃったけど、お互い酔ってたし、笑い話でいいんじゃない?』 「そうだな。園部にも伝えるよ。わざわざ電話ありがとうな」 『うん、じゃあまた近いうちにな』 「あぁ、じゃあな」  電話を切ると、二人の間に気まずい空気が流れる。園部ははっと思い立ち、昨日のカバンを手にして中を探る。  すると底の方から、ヨレヨレになった婚姻届が出てきた。 「……あったね」 「……あったな」  千葉の話の通り、新郎新婦のサインまで入っている。  二人はその婚姻届を見つめ、黙り込んだ。
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