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「シャルロットさまの計画が失敗して、ほんとうによかったです」  サラはレオンに促されて、バルコニーに出ていた。  夜風が頬を撫でていく。  数年に渡る『婚約破棄計画を破棄する計画』が無事に終わり、サラは解放感を味わっていた。  五曲連続でオーギュスタンとシャルロットが躍るのを見届けたという満足感もあった。  シャルロットとオーギュスタンの関係は確固たるものとなるだろう。 「よく頑張ったな、サラ嬢」 「レオンさまたちのおかげです」  レオンを見上げて、サラはようやく微笑んだ。 「……レオンさま?」 「着飾っているのも、可愛らしいな」  サラは、一気に顔が熱くなるのを感じて……俯いた。 「顔を上げて、もっと見せてくれないか」 「レ、レオン、さま?」  レオンがそっと、サラの顎に触れた。そのまま、サラの顔を上げさせる。  エメラルドの瞳は夜だというのに、闇に負けない澄んだ光を(たた)えていた。 「今度、父に改めて()のことを話そうと思う。いいか?」 「お、恐れ入ります」 (どう返していいか分かりません……。ですが) 「よろしく、お願いします」  その答えは『いいえ』ではないことを、サラは知っていた。  やがて、侯爵家から男爵家に一通の手紙が届くことになる。  それは美しい宝石の件ではなく、可愛い令嬢との、婚約の件についてだった。
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