18AUの果てに

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 意識が戻ってきて目を開けたが、暗いままだった。視界の左に小さな赤いLEDランプが見える。  体をよじらせると、どうやらベルトで固定されているのが分かる。わずかな明かりで少し目が慣れると、そこは狭い空間だった。まるで棺のような――いや。  思い出した。 「AI、モニターをオン」  かすれた声に自分でも驚くが、AIはそれでも認識した。一瞬の間ののち、前面がパッと明るく――は、ならなかった。そこは星空だったからだ。いや、空ではない。星の海だ。  ここは地球から遠く、本当に遠く離れた真空の中なのだ。 「時間切れ、か……」  俺は起きたくて起きたわけでも、起こされたわけでもない。単に脱出カプセルの、五年間を保障する仮死維持機能が限界を迎えたのだ。つまり救助が間に合わなかったと言うわけだ。  空腹も感じないし、思考もぼんやりしている。どうせなら仮死からから本当の死に追いやれば良いものを。最後に起きて一縷の望みにかけろと言うのか? あるいは神に祈る時間を与えられたのか。 「少佐……アイリス」  俺をこの場所へ送り出した女性の名を呼ぶ。実験は成功したのだろうか。いや、成功のはずだ。  俺はニ七億キロメートル――18AUを飛び越えたのだから。 *
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