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「馬鹿だな、永遠の命を手離してまで、50年そこらしか生きられない人間になんて誰がなりたいんだよ」
「そうだな……」
あやかしは頭を抱えてしまいました。50年なんて短すぎるが、でもフミカに逢いたいし触りたい。あやかしは閻魔様に直談判しました。
これから先、閻魔様の言う通りに川の氾濫を1年で10回起こすから、半年だけ人間の体を貸してくれと頼み込んだのです。閻魔様は妖怪のくせに人間の女に懸想しているとはと、腹を抱えて笑いました。が、あんまりあやかしがしつこいので期限付きで人間を貸してやることにしました。
但し、条件があるのです。黄泉の国の人間の魂を半年だけ貸してやる。雨の日に自分の妖術を使って人型をつくれ。そのつくった人型に魂を入れれば、一時的に女に触れる、とのことです。晴れた日に女に触れたら蒸発するから気をつけろ、とも言われました。あやかしは、大丈夫だ、自分も雨粒がないと自由に人型をつくれないから、どのみち天気の日には会わないさ、と応えて意気揚々と縄張りの荒川に帰っていったのです。
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