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荒川は半里ほどもある長くて広い川です。下流には美しい田園地帯が広がり小動物たちが自然の恩恵を受け、豊かな暮らしを営んでいます。
川の土手では子供たちの笑い声がさざめき、土手のすぐ側に立てられた家の軒先には洗濯ものが、所狭しとはためいています。幸せのかおりが漂ってくる村落の風景がそこにはありました。
ですが、荒川は、かつては暴れ川と呼ばれた川です。人間たちは、この川に、じゃじゃ馬に轡をはめるように、土嚢を積み上げ堤防をつくってきました。
それが面白くないあやかしは、雨が降ると我が物顔で川を荒らし、波を立て人間どもに目にものみせては喜んでいたのです。
あやかしは、悪さの好きな少年のような心持ちの妖怪です。もう、何百年も生きているのに、子供のように悪戯を繰り返してきたのです。
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