不幸

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 彼とあったのは、小学5年の時、私が転校した日。 「今日から、5年3組に入る、雪奈ちゃんです!みんな仲良くねー」 「雪奈です。よろしく。」 担任が、あまりにもテンションが高いので私はつい動揺した。  それに、私の陰キャと言ってもいいくらい、暗く低い声で言い放った 自己紹介は、当然好評ではなかったらしい。  だって、中休み、話しかけてくれるものは少なかったからだ。 とりあえず、1人で学校を回ってみる、この無駄に広い校舎を と、思ったが、何か鈍く、大きい物音がした。 「早く〇ねよ!なんで学校くんだよ!目障りなんだって!」 「そうだよ!気持ち悪い!異常者!」 そんな誰か罵倒するような言葉の数々と何かを下にうちつけるような鈍い音がフリースペースから聞こえてくる。 (ここって、入っていいのかな。なんかうるさいし。)  なんて、幼い頃思っていた。だけど、うるさい以前にきっと 小5の私は、真っ先に『いじめ』という3文字が頭に浮かんでいたことだろう。  風を切るように開けた扉は、角にぶつかって、ドンッという音が フリースペース中に響き渡った。 「は?」 その反応は……まぁ、予想の範囲だ。 そして、蹴られていた。すなわち、いじめられていたやつは、男の子だった。 ずっと、そのいじめられている男の子を舐め回すように見ていた私は、 周りを見ていなかった。 「なんだよ、お前。」 「なんだよってw転校生だよwww何も知らないガキでしょw」 「……。」 (あいにくだが、そいうことは小さい声で言った方がいいぞ) そう思った私は、きっと間違っては、いないだろう。  私をいじめた女子共は少なからず小さい声で陰口を言っていた。 「何も知らないって、当たり前だろ。今日来たんだから。」 私は、ニコニコしながら、「あなた達なんて、所詮ゴミよ」と言っているように言葉を放った。 「チッ、転校生がしゃしゃんな。イキリすぎなんだよ!」 「イキってる人が羨ましいなら、最初からいえばいいだろ? それより、君たちがいじめてるそいつの方が強そうに見えるのは、 いかにも、ガキが言ってそうな言葉をお前らが並べてるからだ。」  かなりの長文でガキのこいつらには聞き取れないだろう。 彼らは、結局、部屋から出ていった。何も言わずにな (バイバイくらい言えねーのかよ。)  私は、コホンと咳払いをして、私特有の『超高音ボイス』で、 「大丈夫?怪我してるみたいだけど。」 と言った。 (大丈夫では、なさそうだけどね。でも、気ずかいをしてやったんだ。) 怪我をしているそいつは、 「転校生がしゃしゃんなよ……」 と一言残していった。バイバイもなしにな。
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