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次の日、
今度は、学校を回ろうと決心した。あんなことを言われたんだ。
私は、もう、そいつの関わる必要は……
「お前のせいで、イキリ転校生にゴチャゴチャ言われただろうがよ!」
「まじうぜぇんだよ!!」
また、フリースペースから、鈍い音が聞こえる。そいつは抵抗は
していないようだ。
(はぁ、毎度毎度、ウザイのはお前らの方だ。
抵抗していない、いや、出来ないのか?知らんけど、そんな奴に暴力は
ダメだろ。まぁ、暴力自体いいものでは無いけどな。)
そんなことを思いつつも、やっぱり気になっていた。
ドア1枚、たった1枚が、私には邪魔に思えた。
このドアがなければ、私は一目散にそいつを助けていただろう。
このドアがなければ、先生が来て、対処してくれていただろう。
そんなことを思ってももう遅い。私は、
とっくの昔に、ドアを開けていたのだから。私は、何か台詞を言おうと思った
「イキリ転校生のご降臨だよ♡」とは、言えないだろう。
何かドアを開けた。自然な言い訳を作るとしよう。
「すごいうるさいんだけど。」
自分で言う、とてもいい、言い訳だろう。特にいじめられているそいつには
見向きもしない。そんな感じだ。
「なんでくんだよ!まじうぜぇ!」
「お前に関係ないでしょ?何?正義のヒーローぶってんの?キモすぎw」
1人1行ちゃんと言った、そう思った私は、早速口を開こうとした。
と、その前に誰かが言いたそうにしている。私は、口を閉じた。
「そっそうだよ、関係ねぇよ。どっか行け。」
まぁ、そいつに言われたら、おしまいでしょう。
(なんだよ、さりげなーく助けてやろうと思ったのに。)
私は軽く早歩きで、その場から逃げようとした。
そう、私は臆病だからだ。正義感は強いものの、なかなか表に出せない。
度胸なしだ。それに、痛いのは嫌いだ。
その時だ。ほんの一瞬だが、肩に軽く痛みが走った。
「痛ッ……」
「ww、このくらいで痛いのかよwww」
私は弱い。当たり前だ。私は、レディだ。
「ねぇ、先に殴ったのお前だから、悪いの全部お前な?」
私は、そう残し、立て掛けていたプラスチックのバッドを手に取った。
(このくらいならいたくないだろう)
バッドを持った私は、それを勢いよくあいつの肩に振り下げた。
ポーンという、プラスチック特有の音がする。痛くなさそうな音だ。
「イッタ……」
私は、この言葉を待っていた。「痛い」という言葉を
「えー。このくらいで痛いのかよwww雑魚やん」
見事な失笑を彼にあびせた。
トップスターが歓声を浴びるように、私は、彼に失笑を頭から浴びたのだ。
「もの使う方が悪い」なんて言ったが、大丈夫。
「先に手出したのはお前じゃん。こっち悪くなーい。」
そう私は返すのだから。これで少し、いや、結構観念しただろう。
彼らはうるうるの目でこちらを見て、逃げるように後ずさりした。
まぁ、当たり前でしょ。当時は小学5年生。誰と喧嘩しても、泣いてしまう
お年頃だ。
一方のいじめられていたそいつに私は言った。
「大変だったね。」
私は、ニコニコと愛想笑いをする。
「……。」
そいつは黙っている。まるでこちらを警戒する動物のように。
そして口をようやく開く。
「猫かぶってんじゃねーよ!気持ち悪ぃ!」
「…………へ?」
そいつは、私にそんな言葉をあびせ、帰って行った。
(また、サヨナラもなしかよ。)
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