不幸

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 そんなことがありながら今に至る、 もう、あっという間に学校だ。  児童玄関を抜け、靴箱に貼ってあるクラス表を見る。 「おおー!ユキ見ろよ!同じクラスだぞ!」 (おお、オワッタ。) 「良かったねー(棒)」 そんなことを言い、靴を脱ぎ、靴箱に入れ、上靴をカバンから出す。  教室へと行こうとすると、どうにも足が上がらない。 夢でも見ているようなそんな感覚だった。  教室に近ずくにつれ、胃がキリキリと痛い。 水飲み場に着いた。もう、すぐ教室だ。 水飲み場に備え付けられている鏡を見ると、まぁ酷い。 自分の顔じゃないくらい、真っ青だった。  緊張と期待が入り混じる。 期待なんかしたくないのに…なんて、言い訳文句を並べては ため息をついた。  教室に着いてしまった。 (席は、どこにあるんだろう。) と、思う前に、思ったことがある。この教室、 「なぁユキ、なんかすげえ、うるさくね?」 「…!!、バカ、でかい声で言うなよ!」 でも、確かにこの教室は他と違ってうるさい。 だが、それをバカでかい声で言う、優太の人間性を疑った。 全員の視線が、胸に刺さる。それと同時に、胃の痛さがピークに達した。 「ゔっ……」  とりあえず席に着く。一息 はいて、廊下の年組が書いてある木の板を眺めた。そこには、1ー3と書かれていた。  何が「華の中学校生活」だ。華の『は』の字もない。 これだから出会いは嫌いだ。今のあいつの一言で、ここにいる全員の 第一印象は、決まったことだろう。 そして、出席番号順の席は、あまりいいものではなかったが、 男に挟まれなくてよかった。  私はなんせ、変な男に絡まれやすい。 前なんて、ロリコンに絡まれた。正直いって、気持ち悪いの前に 怖いという文字が出てきて、猛スピードでダッシュした。 本当に気持ち悪い人に会うと、「キモイ」より「コワイ」の方が勝つ その理由がよくわかった。あんなのが急に来たら、恐怖を感じるのも無理はない。坊主でメガネをして、小太りでチェック柄の服を着て、その下にジーンズだ。服はオシャレなものの、顔、体型と合わない服はあまり着るものでは無いと思う。あんなのと言ってあれだが、そんな人が来て、 「ねぇねぇ、君、写真撮らせてくれないかな?」などと言ってきたら、 発狂もんだ。私は、「えっあっはぁ?えっちょ」などと 動揺を隠せずに、背中から冷汗が湧き出ているのを感じた。 そして、そのままダッシュだ。ふざけてピンポンダッシュをするくらいのスリルだった。まぁ、ピンポンダッシュみたいにヘラヘラ逃げているのではないけども。  ここまで、読んだらわかるとおり、 私は、とにかく『運がない』くじ引きだって、いいもの引けたことは無いし。 クラスの運だって悪かった。  これは、大いなるストレスだ。今現在も、 鼓膜が破れるくらいうるさいこの個室のような密閉された空間に 閉じ込められている時点で、ものすごいストレスだ。  気が沈む。こんな所にいたくない。帰りたいよ。  私は、『不幸』なんだ
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