13 好きでした、さようなら

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「桐原部長、昨日は、すみませんでした。それから、本当はずっと、好きでした。さようならっ」 桐原の顔も見えないほどの涙が視界を塞ぐ中ぐずぐずの声でそう言って、精一杯の力で押し遣る。 とにかく早く、ここを出なきゃ。 その一心で素早くドアノブに手を伸ばしたのに、反対の腕を取られ、前に進むことを制された。 「待て、どうしてそうなる」 相当腹が立つのか、声に含まれる怒気が物凄い。 「もう終わりです」 見せたくない。こんなに酷い顔で泣くところを。 だから振り向かないでそう告げたのに、声の震えは止められない。 「勝手に決めるな、顔見せろ」 「嫌です」 「拒否権なんていつやった?」 「本当に勘弁してください、こんな酷い顔」 「どんな酷い顔か確かめてやるからこっち向け」 「やだって!」
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