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「すみません、家庭の事情ですぐに帰らないといけなくなって、今もう静岡の自宅に向かっていて……、そう、そうです、二泊とも全員分キャンセルで。あーはい、それはわかってます、払います大丈夫ですごめんなさい、本当にごめんなさい」
通話を切って、大きく溜息をついた。
母が「ホテル?」と尋ねてくる。スマホをかばんにしまいながら「そう」と答える。
「キャンセル料100%だって」
「そりゃそうだ、今頃チェックインしてるはずだったもん。まあしょうがないね。お父さんのクレジットカードで払うことにしてあるでしょ? 普通に請求してもらったらいいわ」
「そう。しょうがないね。ホテルには申し訳ない」
早く椿を落ち着けたいし、戻るにしても現在もうすでに静岡県内である。とんだ連休になってしまった。
「ごめんなさい」
助手席の椿が言う。
「僕のせいで予定が変わってしもたんですよね。結局どこも観光してへんのやろ」
「いいのよ、ドライブしたと思えば」
向日葵も「そうだそうだ、サービスエリアで名古屋飯食べた」と付け足した。椿がふと声を漏らして笑った。
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