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「死にそうやわ……あかんやろこれ……近々書く予定はあったけど、妻の欄にひいさんの名前があるとかいまだに信じられへん……」
「嫌なの?」
「違います嬉しいです光栄です書かせていただきます」
椿は「えいっ」と言いながら判を捺した。両親が「よくやった」「えらいえらい」と言いながら手を叩いているのがおもしろすぎる。
「ええのんこれ……」
「結婚は両性の合意のみにもとづくものですよ」
「成人した子は証人が二人いれば結婚できるんですよ」
ちなみにその証人は父と兄が署名してくれることになった。兄の大樹は大興奮で、すでに自分の判子を握って今か今かと待っている。
「ヤバい……書いちゃうぞ……うわ……ヒエ……」
「お父さんしっかり!」
父の手も震えている。
「これ書き間違えたらどうなんの? 一から書き直すの?」
「堪忍して! 僕の寿命が縮むわ!」
「わたしの婚姻届何だと思ってんの!?」
「大丈夫ググったら二重線に訂正印でいいらしい」
「ヤバいヤバいヤバい椿見てたら俺もすごい緊張してきた」
「俺も手に汗握る」
「だから、わたしの婚姻届何だと思ってんのよーっ」
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