第11話 わたしが一生椿くんを守る

2/7
前へ
/124ページ
次へ
「死にそうやわ……あかんやろこれ……近々書く予定はあったけど、妻の欄にひいさんの名前があるとかいまだに信じられへん……」 「嫌なの?」 「違います嬉しいです光栄です書かせていただきます」  椿は「えいっ」と言いながら判を捺した。両親が「よくやった」「えらいえらい」と言いながら手を叩いているのがおもしろすぎる。 「ええのんこれ……」 「結婚は両性の合意のみにもとづくものですよ」 「成人した子は証人が二人いれば結婚できるんですよ」  ちなみにその証人は父と兄が署名してくれることになった。兄の大樹は大興奮で、すでに自分の判子を握って今か今かと待っている。 「ヤバい……書いちゃうぞ……うわ……ヒエ……」 「お父さんしっかり!」  父の手も震えている。 「これ書き間違えたらどうなんの? 一から書き直すの?」 「堪忍して! 僕の寿命が縮むわ!」 「わたしの婚姻届何だと思ってんの!?」 「大丈夫ググったら二重線に訂正印でいいらしい」 「ヤバいヤバいヤバい椿見てたら俺もすごい緊張してきた」 「俺も手に汗握る」 「だから、わたしの婚姻届何だと思ってんのよーっ」
/124ページ

最初のコメントを投稿しよう!

43人が本棚に入れています
本棚に追加