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「あとは戸籍謄本が届き次第役所に提出、と」
兄が「戸籍謄本がいんの? 養子縁組に?」と尋ねてくる。母が答える。
「結婚する時も必要よ。でも郵送で取り寄せられるから――まあ本籍地で出すものだからあんたの場合地元で結婚するんだったらいらないけど」
「そういうものなんだ、へえ」
彼は「俺も早く書きてぇなぁ」と言ったが、この前学生時代から付き合っていた恋人と別れたばかりの彼には厳しそうだ。
テーブルに突っ伏したまま動かない椿の頭を家族みんなが順繰りに撫でていく。
「まあ、なんとかなるよ」
向日葵は微笑んだ。
「いいじゃん、これからも一緒にいられるってことでさ。椿くん、わたしのこと大好きだら?」
そう言うと、椿がくぐもった声で「そうやな」と応じた。
「僕、この先一生ここで暮らすんやなあ」
「これからも末永くよろしくお願いしますね」
「こちらこそ。捨てんといてや」
祖母が「おめでとう」と言ってくれた。
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