第11話 わたしが一生椿くんを守る

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 椿がようやく顔を上げた。目元は赤かったが、口元はほんのり笑っていた。彼はこんな顔もできるのだと思うと嬉しかった。今月だけで彼のいろんな面を見た。と言っても基本的には向日葵が大学四年間で見てきた彼がベースにいる。なにも急に人格のすべてが変わってしまったわけではない。これからまた少しずつ変わっていくかもしれないし、それはそれで長い人生で互いにゆっくり見つめて受け入れていけばいいのだ。 「お疲れ様。今日はもう寝る準備しようか」  母が几帳面にも届出書二枚をクリアファイルに入れてくれた。そして差し出してきた。椿が受け取った。 「全部全部、また明日!」
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