第12話 明日も明後日も、その次の日もさらにその次の日も晴れるよ

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第12話 明日も明後日も、その次の日もさらにその次の日も晴れるよ

 椿が縁側に座っているのが見えたので、向日葵は後ろから彼の背中に「ただいまーっ!」と声をかけた。椿が振り向き、微笑んでくれた。  今日の彼は紺色から白へのグラデーションの着流しだ。白い肌に紺の襟が映える。ずっと沼津で暮らしていたらこの肌も日焼けするのだろうか、と思ったがもともと色白の向日葵の母は今もそんなに黒くなかった。 「おかえり。早かったな」 「あんま仕事しなかった。結婚報告してランチおごってもらっただけみたいな感じだった」 「能天気な職場やなあ」  背後から膝立ちで近づいて彼の背中を抱き締める。肩に頭を載せ、彼の匂いを嗅ぐ。昨日の夜離れで焚いていたお香の匂いがした。いい匂いだ。椿はいつもいい匂いがする。汗臭い兄とは大違いだ。 「今度連れてきてって言われたよ。実物見るまで納得しないとか言ってる人もいてさ。あとふつうに仕事として市外から引っ越してきた人の意見も聞きたいって。取材先にカップルじゃないと入りにくい場所とかもあるしね」 「ふうん、よそ者がお邪魔してもええんなら今度顔出そうかな」
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