6人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
月曜日、葵ちゃんは学校に来なかった。
わたしのクラスの先生は、昨日葵ちゃんが事故に遭って重体であることをみんなに話した。
ざわつくクラスの中で、わたしはまた涙が出て来た。
中学校で一番最初のお友だち。
そして一番大好きなお友だち、葵ちゃん。
「葵ちゃんがいたから、わたしここまでがんばれたんだよ」
葵ちゃんがいなかったら、絶対わたし学校を辞めちゃってた。
入学当初は、葵ちゃんと言葉を交わすなかでもなく、お互い座席も離れていた。
お互い違う小学校だったからなんだ。
葵ちゃんが友だちになってくれたのは、わたしがいじめに遭い出してからだった。
わたしがいじめられだしたのは、1年生の時。
12月のお楽しみ会の後ぐらいからだった。
お楽しみ会では、クラスメイトがグループを作って出し物をした。
わたしのグループは、歌を歌った。
歌ったのは『美少女戦士セーラームーン』の『ムーンライト伝説』だった。
わたしは歌うのが大好きで、じいじとばあばによく『緑ちゃんは歌が上手だねえ』とよく褒められた。
だから、その時も精一杯歌った。
これが良くなかったみたい。
グループの中でわたしだけが目立ってしまったんだ。
聞いているだけのクラスメイトは喜んでくれた。
だけど、一所に歌ったグループの友だちはわたしが目立ったのが面白くなかったみたいだった。
それ以降わたしだけ仲間はずれにされるようになった。
よく、『そりゃあなたは私たちとちがって、歌が上手だものね』といわれてのけ者にされた。
最初のコメントを投稿しよう!