『中学生、緑と葵の物語』

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『中学生、緑と葵の物語』

前口上   この『中学生、緑と葵の物語』をお読みいただきありがとうございます。  内容は、チープヒッピーズ3部作の第1部が始まる前のお話です。  第1部は、高校が舞台となっていますが、第0.5部は、登場人物の中島(なかじま)(みどり)が中学生時代のお話です。  すでに、チープヒッピーズ 第1部 『76th Star』を読みになられた方は、  歌姫、中島緑の秘密が少し明らかになります。  この物語から読まれた方は、続けてチープヒッピーズ 第1部 『76th Star』をお読みいただけらたらこの上ない幸せです。  今後ともよろしくお願いいたします。                                           赤葉小緑 中学生、緑と葵の物語  その知らせをわたし、中島(なかじま)(みどり)が聞いたのは、親友の吉川(よしかわ)(あおい)ちゃんの誕生会に、はいて行く靴を選び、家を出ようとした時だった。  壁の時計は9時45分をさしていた。  けたたましく電話のベルが鳴った。  お母さんが受話器を取る。  始めは驚いて、やがてチラチラとわたしの顔を見ながら心配そうな顔をしている。  何の電話か気になるけれど、もたもたしている暇など無い。  早くいかないとお誕生会が始まっちゃう。  わたしは、ドアノブに手を掛けた。  外に出ようとした時、後からお母さんが(するど)く言った。 「緑ちゃん、ちょっと待って! 」  振り向くと、 「ああ、そっか。プレゼントの袋忘れるところだった」 「緑ちゃん……」  お母さんを見た時、この前国語の時間で習った『顔面蒼白(がんめんそうはく)』ということばを思い浮かべた。  今のお母さんの顔をそう言うんだろう。 「お母さんどうしたの? 」 「葵ちゃんがね、車にはねられたって。葵ちゃんのお姉さんから電話があったの」 「え……? 葵ちゃんが……」
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