1.彼氏は学校の王子様

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「おはよう、篠原さん。毎朝言ってるんだけど、その、“王子”って呼ぶのやめてくれない?」 航くんはこの学校の王子様なのだ。 入学した当時から同級生にも先輩にも大人気で、女子たちの間で「白馬に乗った王子様」みたいと多大な人気を得て。 でも、“王子様”と呼ばれることに、航くんはとても抵抗があるみたい。 この風貌なら、今までも呼ばれたことがあるだろうに。 「いいじゃん。ほかのみんなも王子って言ってるんだし」 「………でも、直接言われるのはちょっと」 「あ、そうだ!羽美!」 航くんの話を遮るように、あたしの名を呼ぶ楓。 一瞬だけ航くんと目が合ったのだけれど、あきらめたように小さく笑って自分の席に戻っていった。 「どうしたの?楓」 「今日、大海(ひろみ)先輩って朝出たの早かった?」
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