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リレーにはバトンを受け渡さなくてはならない区間というものが決まっている。
それをテイク・オーバー・ゾーンというのだが、その区間以外でバトンを受け渡した場合失格となる。
初めての大会では僕と裕司がテイク・オーバー・ゾーンを越えてバトンパスを行った。そして失格となった。
挙句の果てに僕らはお互いのことをなじり、罵倒した。
どっちのせいで失格になっただの、お前が悪いだの、くだらないことで互いを蔑んだ。
この時僕らは、お互いに、お前なんかとは一生リレーを組まないとまで言い放ったのを覚えている。
当時は、四人でリレーを組むことはこれ以上ないだろうと考えていた。
しかし、そんな中で智樹だけは僕らをまとめようとした。
僕はリレーをやめるつもりだった。
それなのに、智樹は粘り強く僕を説得しようとした。
智樹からリレーをまたやろうと言われ続けて、二週間が経った頃だろうか、僕は智樹のしつこさに憤慨した。
「毎日毎日しつこい! そんなにリレーを走りたいなら僕以外の人を誘えば? 他にリレーを走りたい人とか、もっといい人材はいるだろ!」
僕の発言に対して智樹はいたって真剣な表情で僕にこう言った。
「お前ら三人じゃなきゃ駄目なんだ。この四人ならきっとうまくいく。だから、もう一回出ようよ」
智樹の真剣過ぎる表情に僕はたじろいで、勝手にしろとだけ伝えてその場を後にした。
その日以降も、智樹は諦めなかった。
結局、僕は彼の熱量に根負けした。
他の二人も智樹に説得されたらしく、僕ら四人は再びリレーを組むことになった。
今思うと、智樹には申し訳ないことをした。
リレーを組むことになったとしても、個の集まりである僕らをまとめ上げ、練習をしていくのは本当に大変だっただろうと思う。
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