悪魔召喚

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 いつの間に準備したのかコートと外回り道具一式入ったカバンを片手に、シュタっと手を立てて中嶋は車へと走る。一華は中嶋についていった。残された小杉は自分のデスクへと向かうが、ふと思う。 「怪しい儀式撮っても嫌がらせの証拠にはならないんじゃ」  なんとなく一華のノリと勢いに乗せられて行ってしまった感が否めない。ちょっとカワイソウな人の写真が撮れるだけだと思うが、その辺りはどうするつもりなのか気になったが、どうせ今連絡を入れてもおそらく運転中で取らない。それにその場でどうにでもしてしまうのが中嶋聡という人間だ。  運転をしながら中嶋は一華から詳しい状況を聞いていた。ターゲットの女性は一軒家の実家住まいで家の中で怪しい儀式が行われていたらしい。防犯システムなどのステッカーはなし、家族の姿もなく一人でいるようだった。中嶋はふむ、と少し考え込む。 「どうするかなあ。さっきはああ言ったけど警察のフリしてもいいか」 『それ下手するとものすごく大事になっちゃいません? どうごまかすんですか?』 「んなもん、その場の勢いと口車でなんとでもなるだろ。勢いよく突っ込んで写真とって『テメエ首洗って待ってろ』みたいなこと言ってトンズラすれば完璧だ、五分もかからない。あれ? 本当に警察だったのかな? 何で今すぐ逮捕しなかったの? と思う頃には俺達はいない。その後のことは知らん」 『完全に犯罪者じゃん』  一体今までどんな手段を講じて尾行や追跡調査をしてきたのか、一度じっくり話を聞いてみたくなる。神棚に毎日拝んでいてもバチが当たりそうな事ではありそうだ。 『そんな事したら所長にぶっ飛ばされそうな気もしますけど』 「だよなあ。前も似たような事したら給料減らされたからな」  やったのか、とは突っ込む気力もない。所長の佐藤もわけのわからない性格をしているらしいが、一応その辺の常識というか業界の暗黙の了解は守る性質の人らしい。一華は会ったことがないが。  探偵業はアニメなどの世界と違って警察には目を付けられやすい。自分達だけでなく同じ業界の人間からも嫌われてしまうと動きにくくなる事もある。
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