悪魔召喚

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 目立つ、騒ぐ、脅すは基本NG。そういう方法をした方がいい場合もなくはないが、それでもやらないのがこの業界のルールだ。 「まあいいや、予定通りこっそり忍び込んで写真撮ってトンズラだな」  目的地に到着し、車のヘッドライトを消す。人目につきにくい空き地に停め、念のためナンバープレートに劣化したカバーをつけた。ナンバープレートが見づらくなるカバーをつけるのは違法なので走行中はつけないが、こうやって車を置くときはつけるようにしている。ナンバーがばれては後々面倒だ。 「まあどうせレプリカの番号上からかぶせてるけど」 『本当に探偵って犯罪者に足突っ込んでるよねー』 「当たり前だ、正義の味方じゃねえんだぞ。そういうのは警察と検事と弁護士で十分だ。まああいつらも好き放題の犯罪者予備軍だけどな」  ふんぞり返っていう事でもないが、こういう職業だとそういう人たちと衝突することも多いのだろう。佐藤探偵事務所も顧問や専属弁護士がいるくらいだ。  中嶋が偽装しているうちに一華はあたりを見回す。暗いが幽霊である一華には周囲がはっきりと見える。人通りはなく、店などもないので監視カメラの類はなさそうだ。 『大丈夫、何もなさそう』 「んじゃ行くか」  素早く駆け抜け目的の家に近づく。門扉はあるがカギも防犯もない。音を立てないように入り、裏へまわる。塀や植木もあるので外から見づらいのは好都合だ。 (こういう家ってつくずく空き巣に好都合な構図してるよな)  張り込みや尾行をしていると建物にも詳しくなってくる。家を一周まわって窓など見れば、間取りもなんとなくわかるものだ。周囲の人に家の中を見られたくないからと植木を置いたりカーテンを閉めたりするが、それを喜ぶのは家主だけではない。言うなれば、家の中で何が起きていようとわからないということだ。空き巣などにとってはゆっくり落ち着いて仕事ができる絶好の環境となる。  今回の場合なら、家主にとって好都合な作りなのだが問題は家主がイカレているという点だ。
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