恋占い

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 聞いている限りはおかしなところはない。お似合いの相手を見つけるきっかけを提供し、見つけたら何をすれば仲良くなれるかのアドバイス。定型文が決まっていて当たり障りのない文章はランダムに出ているだけの可能性が高い。それならそれが自殺の原因とは考えにくい。 『私はその時テル君と付き合ってたからやらなかった。でも、今回みたいな友達が詳しい事教えてくれないっていうのは別になかった……いや、あったかな? 友達がその後続けてて、あれからどうよって聞いたら彼氏いる奴には教えん! って言われたっけ。もちろん冗談っぽかったけど』 「で、結局教えてもらったのかその後の事は」 『あ、そういえば教えてもらってないかなあ』  その後友人達は楽しそうにそのサイトを利用していたように思える。しかしすぐに飽きてしまったのか、その後そのサイトの話をする事はなかった。 「つまり両思いになったり付き合ってる奴がいるのはそこで除外されて、具体的な片思いしてる奴や本気で恋人が欲しい奴限定の追加サービスか何かあったのかもな。その辺は清水さんたちが掴むだろう。それが魅力的……魅惑的か? どっぷりハマりこむ何かがあったのかもしれない。ただそれが直接自殺と繋がるとは思えないんだよな」  考え込む中嶋に一華も少し考えたが、『あ』と声を上げた。 『好きな人に振られたとか』 「たったそれだけで自殺はしないだろ。俺がそういう恋愛ごとに興味ないから、っていう理由は省くぞ。長年付き合ってたとかならまだわかるが、付き合う前じゃ普通に考えたってそれはない」  それに友人達の口が堅かった件もある。好きな人に振られただけならサイトの事をしゃべろうとしないのは不自然だ。 『そうなんですよね。でも例えばこのサイトに好きな人に振り向いてもらえるアドバイスを貰ってて、それを実行してもフラれたとかだったらどうですか? 凄く信じ込みやすい人だったとか』  一華の案に中嶋は少々考え込む。その線で考えれば確かに可能性はゼロではない。おかしな宗教や自称占い師に言いくるめられて被害にあう人は何年たっても減らないし、海外でも悪魔祓いが形だけの虐待行為である事も少なくない。信じていれば救われる、報われるという考えは万国共通だ。思い込みが激しかったりそういうのにすぐにはまりこんでしまう人間はどこにでもいるのだ。いつの時代でも、どんなところでも。
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