141人が本棚に入れています
本棚に追加
調査を始めていた三人に指示したのは、レボリューション自体を調べるのではなく可能な限り自殺した少女とサイトのやり取りを細かく調べる事と、SNSで自殺の数日前まで友人達とのやり取りを追う事。あと、レボリューションと個人的に連絡をとっていなかったかどうか。サイトは名前や情報を入力するだけだったが、甘い言葉に釣られてメールアドレスや何らかの個人アカウントなどを登録していなかったかどうかだ。
数日後、三人からの報告があがった。レボリューションといつどんなやり取りをしたのかはもちろん、友人とのやり取りのアプリやメールの内容からSNS、削除されたものまで全て拾い上げていた。
「漏れはないと思うよ、三人で協力してやったから」
清水が大量の印刷物をまとめながらそう言うと戸波と荒川がうんうんとうなずいている。技術屋が集合すると凄いな、と改めて思った。
「これレボリューション側にばれてる可能性は?」
大量の紙を見ながら中嶋が問えば清水は腕を組んで考えるような仕草をする。
「半々かな、バレない細工はしてきたけど。こっちみたいにプロがついてたら気づかれてる可能性もあるが」
「その可能性はあんまりないんじゃないですかね、ずいぶんセキュリティは甘いようでしたし。簡単に探れましたよ。こっちを追ってきた形跡もないです、囮にしては中途半端ですからね」
手ごたえがないというようなリアクションの戸波は肩をすくめた。余程簡単な作業だったのか物足りなさそうだ。
「サイトは閉鎖しちゃえばいいし、新しいサイト立ち上げればいいからそれほど凄いセキュリティはないのかもしれないですね」
荒川の言葉に他の二人も同意する。調べていた時の状態からサイトはどちらかと言うと使い捨てという印象だった。そして調査の結果案の定、自殺した少女はアドレス登録をしていたのだ。
「まあ大方中嶋君が調べろといったあたりが本命のようだ。この内容からも一歩踏み込んだ連絡をしていたのは間違いないから。目を通してみてくれ、推察するまでもない内容だけどね」
清水が言いながらやり取りを印刷した紙を全て中嶋に渡す。これで技術班の仕事は一旦終わりだ。ここからは中嶋の仕事となる。
最初のコメントを投稿しよう!